あらすじ・ネタバレ・感想
室賀正武の取り込み
浜松城で室賀正武(西村雅彦)を調略しようとする徳川家康(内野聖陽)と本多正信(近藤正臣)。室賀正武は断ろうとするが、家康は天が淵に作っている上田城は真田のものとする旨の証文を見せる。
家康「室賀殿の名も他の小県(ちいさがた)の国衆の名もどこにも書かれておらぬわ」
心が揺れる室賀正武。
室賀「・・・何をすればいい?」
正信「真田昌幸の嫡男、信幸と申しましたかな。その者が真田家の新しい当主になったという知らせが聞きたい。できれば室賀殿の口から」
真田昌幸(草刈正雄)の暗殺依頼だった。 しかし室賀の浜松訪問を昌幸の弟、真田信尹(栗原英雄)はしっかりと見ていた。
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出だしはシリアスですね。しかし室賀氏の「ここまで小県の国衆を引っ張ってきたのは真田昌幸です」は良いですね。昌幸の考えに色々文句を言ってきましたが、心の中では認めているんでしょう。室賀、ツンデレでかわいい(笑) そして真田信尹は良い仕事をしますね。第8回の春日信達調略、暗殺の時も大活躍でしたが、真田家は優秀な人材の宝庫です。 この後の展開をこの時点で予想させてしまう冒頭でしたね。
信繁が梅ちゃんとの結婚を報告
まずは梅ちゃん(黒木華)とそのお兄さんの堀田作兵衛(藤本隆宏)、佐助(藤井隆)、矢沢三十郎頼幸(迫田孝也)に報告。自分の味方達ですね。その後に真田源三郎信幸(大泉洋)、昌幸、そして女性陣に報告しますが、もちろん母親の薫(高畑淳子)は大反対。 信繁は薫の機嫌を良くするために様々な策を弄しますが、どれも失敗。 結局祝言は挙げない方向で決まってしまう。
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信幸との会話の
信幸「口吸(くちすい)どころではないではないか」
信繁「はい!」 信幸「そんな顔してやることはやっておるのだな」
信繁「はい!!」
とか 昌幸との
昌幸「でかしたぞ信繁。これで人質の駒が一つ増えたぞ」
信繁「梅は身体も丈夫で良い人質になります」
とか
信繁「母上、好きなおなごができたので結婚します!」
薫「遅いわ」
とか スピーディにおもしろいやり取りが続きます(笑) ただ個人的にはこの部分が長かったような気がしますね。あまり祝言をやるだのやらないだの入れずに、室賀氏の調略や対決にもっと時間をかけても良かったかなとか思ったり。 まあ前半軽いノリで進む分、最後のシーンが引き立つんでしょうけどね。
上田城完成、室賀との会談
上田城が完成する。
室賀「この上田城は真田のための城ではないのだな」
昌幸「答える気にもならん」
再び浜松を訪れる室賀。やはり幼なじみの昌幸を殺すことはできないと言う室賀。しかし本多正信の口車に乗せられて・・・。 室賀が再び浜松を訪れたことから、昌幸の暗殺を狙ってくると推察する昌幸陣営。信繁の祝言に室賀を誘い、暗殺の場を敢えて作ることによって、返り討ちにする作戦を決行することにする。
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コント部分を短くして、この室賀が昌幸暗殺を決意するところの心情の変化をもう少し丁寧に描いてくれると私の中で100点の回だったと思います。何様だよって話ですけど(笑) 室賀は殺せないって言ってるのに、「二人ほど手練をつけますよ」の一言で暗殺を決意してしまったのが少し雑に感じちゃいました。
祝言当日
盛り上がっている祝いの席で、室賀を囲碁に誘う昌幸。離れた位置に信幸、隠れて高梨内記(中原丈雄)と出浦昌相(寺島進)がいるものの、二人で碁盤を挟んで座り碁を打ち始める。室賀にとっては絶好の暗殺チャンス到来である。
昌幸「その懐に持っているのは小刀か?」
室賀「なんの話だ?」
昌幸「わしを殺しに来たのだろう隙を見てわしを殺し、徳川からこの城を貰うつもりだったか?」
昌幸「さしずめお主が連れてきた二人は徳川の手の者」
室賀「だったら?」
昌幸「亡骸は徳川に送り届けるとする。すでにこちらで始末した」
昌幸「お主の負けじゃ」
昌幸「わしの家来になれ。さすれば許す」
昌幸「よう考えろ。お主にはもうそれ以外の逃げ道はない」
室賀「お前とは生まれ育った場所も近く、同じような人生を歩んできた。幼いころより、わしの前にはいつもお主がいた。じゃがわしは人として武士として、お主に劣ったと思ったことは一度もない」
碁を打つ室賀。
懐から小刀を出し、碁盤に置く室賀。
室賀「帰る」 立ち上がり、昌幸に近づく室賀。
室賀「お主の家来にはならん」
隠し持った武器で昌幸を刺し殺そうとする。しかし隠れていた出浦が手裏剣を投げ、それを阻止した。そのまま室賀を刺す。よろめきながらも足掻く室賀を信幸が切る。それでもまだ動く室賀を今度は内記が後ろから切る。ついに倒れた室賀の首を出浦が切った・・・。
その様子の一部始終を見ていたきり(長澤まさみ)は信繁を慌てて連れてくる。全てを察する信繁。その夜、信繁は梅のために怒り、泣くことができなかった自分がイヤで涙を流すのだった。
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このシーンの草刈正雄さんと西村雅彦さんの演技は引き込まれましたね。放送前日の土曜スタジオパークという番組でインタビューを受けていた草刈さんが「明日は私も大好きな回です」と仰っていたのがよくわかります。
室賀と昌幸の幼なじみでありながら殺しあう展開になってしまった悲痛さが表情によく出ていました。昌幸は室賀が「家来になる」と言えば本当に許したのではないでしょうか。そのくらいの信頼関係のようなものが二人にはあったような気がします。
あー本当に名シーンでした。 もう二度と室賀の「黙れこわっぱぁ!」が聞けないかと思うと残念ですね・・・。それにしてもあんな壮絶な死に方をするとは思っていませんでした。「一撃でスパっと斬り殺してくれよ」と思ったのは私だけではないはず。 あんなに何人もで斬りかかられて、這いつくばって蠢いている様は可哀想になってしまいます。
でもそのような修羅場をくぐり抜けなければ戦国の世は生き抜くことができないので、わざと少し残酷な描写にしたんだろーな。 難点を挙げるならきりちゃんが源次郎を連れてきたのがちょっと不自然かな、と。「梅ちゃんがかわいそう」とか言ってたけど「いやお前が連れてこなけりゃ知らずに済んだんじゃねーの」って突っ込みたくなったり(笑)
ネット上ではきりがウザいと不人気らしいですが私はそこまであのキャラ嫌いではないんですよ。普通にヤキモチ焼いてる恋する女の子って感じでかわいいと思いますが、今回の行動はちょっと「ん?」って思ってしまいました。 姉上(信幸の奥さんのこう)が体を張って雁金(かりがね)踊りで時間稼ぎをしてくれたのも無駄になってしまいましたし(笑)なんの病気なんでしょうね、あの人(笑)
総合的なレビュー
第11話はかなりの名シーンがある、最高の回だったのではないでしょうか。過去にあった昌幸の囲碁のシーンも室賀を殺すシーンにしっかり活かされていたと思います。 これから徳川は自ら動き出し、第一次上田合戦へと発展していくのでしょう。
ここまでまともな戦シーンがなかった真田丸ですが、やっとですね。ただ信繁は第一次上田合戦に参加していた記録はないと思いますので、ドラマではどうするか。普通に参加させるのもありな気もします。この戦をしっかりやらないと多分関ヶ原まで大きな戦いは真田家にはないでしょうし。
そして最後のシーンの信繁はこれからの信繁の生き方に関わってくるんでしょうね。なんて言えばいいんでしょう。人間らしい感情を持って生きていきたい、というか。昌幸のように残酷に知略を発揮するだけではない生き方を、義を重んじる上杉家で学んで、それが最期の大阪夏の陣にも効いてくる気がします。
次回、第12回「人質」は最近私の中で人気急上昇中の上杉景勝の元へ、源次郎が向かう回。楽しみですね。
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