PR

文庫X(殺人犯はそこにいる)を読んでみたのでネタバレと感想

スポンサーリンク

f:id:hamchang:20161104094949j:plain

どうしても読んで欲しい810円(税込)がここにある

皆さんは「文庫X」というものはご存知ですか?

私はニュースで知りましたが、岩手県の盛岡市にある、さわや書店という本屋で最初に売られた、正体不明の本です。

※2016年12月9日、さわや書店さんはタイトルを公開しました。

本全体が完全に包装で隠され、中身が見えないようになっているため、本のタイトルも著者も出版社もわかりません。

わかっている情報は810円という価格と、ノンフィクション作品であるということだけ。

包装には書店員さんの直筆の感想が書かれており、その出だしに、『申し訳ありません。僕はこの本をどう勧めたらいいか分かりませんでした。どうやったら「面白い」「魅力的だ」と思ってもらえるのか思いつきませんでした。だからこうして、タイトルを隠して売ることに決めました』とあります。

この売り方が気になって購入する人が続出し、文庫Xは全国の書店に広がっているそうです。

当然こんなニュースが流れると中身が気になっちゃいますよね。

この記事では文庫Xの中身とそれを読んだ感想を書いていきます。当然ネタバレもありますので、知りたくない方は読むのを止めて下さいね。

※ネタバレしたところで、この書店員さんの思いや、本の面白さに影響はないと思います。

f:id:hamchang:20161104095253j:plain

「文庫X」の正体は清水潔著「殺人犯はそこにいる」

「殺人犯はそこにいる-隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件-」が文庫Xの中身でした。

これは栃木県足利市、群馬県太田市という隣接した2つの市で、5人の少女が姿を消した事件を、日本テレビ記者の清水潔氏が取材し記した本です。

ざっくり内容を説明しちゃいます。

・半径10キロという限定された地域で17年の間に、5件の女児誘拐殺人事件(1件は行方不明)が発生している。

・ジャーナリストの清水氏はこれが一人の犯人による連続事件だと推測する。

・しかし5件のうち1件、通称足利事件は犯人である、菅家利和が逮捕され解決済みとなっている。

・清水氏はこれが冤罪ではないかと考え、取材を続けることで、その予想は確信に変わっていく。

・清水氏の働きもあって、菅谷逮捕の決め手となったDNA鑑定に誤りがあったことがわかり、17年間、刑務所に捕まっていた菅谷さんは釈放される。

・清水氏はこの取材の中で事件の真犯人がわかっており、接触もしているらしい。さらにはそのことを警察にも伝えているという。

・しかし警察は真犯人を捕まえようとはしない。それは犯人を捕まえることで、DNA鑑定が行われ、その結果が、過去に同じDNA鑑定を用いて有罪判決を下され、死刑になった「飯塚事件」が冤罪であったことを証明することになってしまうからだ。

・今でも殺人犯はのうのうと生活をしている。

まあこれが本書の内容です。怖い話ですね。

最後の方のなぜ警察が真犯人を捕まえないかは本書でしっかり確認することをオススメします。

少しややこしいので、詳しく書くと尋常じゃなく長い記事になってしまいます。

本書が一番伝えたく、詳しく書きたい部分、日本の警察内部や司法の闇に切り込む部分なので、気になる方は読んでみて下さい。きっと寒気がしますよ。

「殺人犯はそこにいる-隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件-」の感想

清水氏は問題提起をしています。そしてそれをテレビ番組で扱ったり、書籍として世間に広めることで、真犯人を捕まえようとしています。

できるだけ広くこの本の内容をみなさんに知ってもらい、批判の声が強くなればなるほど、警察は動かざるを得ない状況に追い込まれるはずです。

必死で取材した筆者のその意図がわかるからこそ、さわや書店の書店員さんは少しでもこの本を手に取る人が増えて欲しいと考え、「文庫X」という売り方をとったのでしょう。

そしてその本を読んだ人は同じ想いでSNS等で拡散して、「文庫X」はメディアでも取り扱われるようになりました。

私もこの本を読んで、「この本の内容は日本国民全員に知ってもらいたい」と思い、ブログに書くことを決めました。

「文庫X」のタイトルやネタバレを書いてしまうのはルール違反だと言う方もいるかもしれませんが、この販売方法は読んでくれる人を増やすことが目的のはず。

「文庫X」を見かけて気になったものの買わなかった人が検索をかけた時、内容に興味を持って改めて読んでみようという気持ちにさせることが、ネタバレ記事ではできるわけです。

この本で唯一気になったのは真犯人であるルパン。(※目撃者が漫画のルパン三世に似ていたと言ったことで、本書ではこう呼ばれている)

この男を真犯人だと判断した経緯などが語られていないことです。おそらく現在の段階ではそれを書いてしまうと問題があるのでしょう。

筆者が見た「黒いファイル」に重要な手がかりがあったらしいですが、その内容は本書では語られていません。

この真犯人を捕まえるために足利事件の冤罪を暴き、菅谷さんを釈放させた清水氏の取材に基づく判断ですので、間違っていること考えにくいです。

やがて世論の声が高まり、ルパンが逮捕されるような日がくれば、おそらくすべての謎が解き明かされるのではないかと思います。

そんな日がいつか来るように、この記事を読んだ皆様が本書を手に取ってくださることを願います。

コメント