話題の映画「カメラを止めるな!」を観に行ってきましたσ(*・∀・)
すごく評判が良い映画で、前から気になって観に行こうとは思っていたので、できるだけ情報をシャットダウンしていました。
しかし毎週観ているワイドナショーで東野幸治さんや西川貴教さんが大絶賛している感想(一応ネタバレはなし)を聞いて、「これ以上感想・口コミ・レビューを聞いたらストーリーの想像をしちゃうな」と思い、鑑賞を決行。
抱いた感想を短くまとめるとブログ記事のタイトルにある通り、「口コミは過大評価で、絶賛するほどおもしろくない」。
「おもしろくない」ではなく「絶賛するほどおもしろくない」なので、勘違いしないようにして下さいね。
この映画を他の人の絶賛コメントなどの前情報なしに、新人監督と名もない役者さん達が300万円の予算で作ったものとして観れたら、もっと満足したのかなとも思います。
ブログに映画の感想を書く場合、「ネタバレあり」のものと「ネタバレなし」のものがありますよね。
この記事は完全にストーリーのネタバレありで、「映画をすでに観た上で他人の感想が気になって読みに来た」という層がターゲット。
「カメラを止めるな!」を未視聴でこれから鑑賞予定の方は注意して下さいね。
映画「カメラを止めるな!」の個人的な感想・口コミ
この映画は大きくわけると三部で構成されています。まずは37分ワンカットの圧巻のゾンビサバイバル番組部分。そして1ヶ月前にさかのぼってそのライブ中継番組を映画監督(?)の日暮が引き受けて、撮影を始めるまでの準備部分。そして放送されるゾンビサバイバル番組の撮影裏側部分です。
※便宜上この記事では第一パート、第二パート、第三パートと表記します。
ちょっとややこしい構成ですが、「映画撮影中に本物のゾンビに襲われる」という内容の映画だと思わせておいて、「『映画撮影中に本物のゾンビに襲われる』という内容のライブ中継動画(ONE CUT OF THE DEAD)を撮っている人たちの奮闘」を描いた映画ですね。
ちょっと文章化すると意味がわからないかもしれませんが、観た人は理解しやすいようによく練られた脚本だったと思います。この二重(三重かな?)の入れ子構成は「カメラを止めるな!」の大きな特徴です。
37分ワンカットの圧巻のゾンビサバイバル番組部分
さて、冒頭からぶっ通しのノーカット撮影(劇中劇)ですがこれがつまらないと感じる人は多かったですよね?少なくともツイッターやブログの感想などを読む限りでは、映画の評価そのものは高い人でも前半は退屈だったという意見が結構ありました。
- めっちゃブレてるカメラ
- 不自然なカメラワーク
- 不自然に趣味の話を振って護身術のお手本が始まる
- 「ケガはない?」と何度も聞きあう
- 「こんなところに斧が、ついてるわ」という不自然なセリフ笑
- カメラが謎に地面に置かれたままになる
- 坊主が挙動不審過ぎる
- 主演女優が叫んでいるシーンが長すぎる
- 主演女優が彼氏ゾンビを切るまでの間が長い
- 同じセリフを二回言う
- カメラのレンズに付着した血を拭き取る
- 日暮がカメラ目線で「カメラを止めるな!」と言う
などなど、思い出すだけでもたくさんの違和感を感じながら観ることになります。上の方に書いたような違和感は「低予算映画だしこんなものかな?」と思うようなレベルですが、下の方に書いた違和感になってくると、どんなに鈍感な人でも「明らかに何か狙いがあるな」となってくるはずです。
私の場合は「不自然に趣味の話を振って護身術のお手本が始まる」の時点で、この作品が三重の入れ子構造になっていると予想し始めてしまいました。割と早い段階だと思います。(これについては後述します)
そのため、違和感があるたびに「これも何か事情があって撮影上のトラブルでこんな感じになってるんだろうな」と思いながら観ることに。
これがすごくつまらなかった原因ですね。笑ったシーンは多分「ポン!」のところだけですね。あそこだけは吹き出しそうなくらいおもしろかった(´∇`)
あとは「こんなところに斧が、ついてるわ」のセリフもなんか面白かったですが、これはなんか不自然な言い回しとセリフ内容がツボっただけで、本来初見で笑うようなシーンではないですね。
私が観に行った映画館はかなり客席は埋まっていましたが、笑っている人はほとんどいませんでした。まあこの第一パートに関しては徹底的に前フリをしているような感じなので、笑わせるつもりもないんだと思いますけど。
ただ正直前フリだとわかっているものを37分間も見ているのは、私としては退屈でした。せめて劇中劇のストーリーがもうちょっと引き込まれるような内容だったら楽しく見れたんじゃないかな。
エンドロールが流れたときはようやく終わったかって感じ。そして「さあ、ここからは笑わせくれるんだろうな」と何様かわからないような偉そうな期待感を持って、次の展開に進みます。
このあたりは「あまり日本人は映画館で笑い声を立てないけど、後半は観客がみんな爆笑していた」みたいな口コミをワイドナショーで誰かが言っていたので、勝手に私の中でのハードルが上がっていたことが原因です。
撮影を始めるまでの準備部分
さて、ハードルが上がっている中、真の主人公である映像監督の日暮が「ONE CUT OF THE DEAD」を引き受けます。これは私もワクワクしました。まさか監督役をやっていた人が監督だとは思っていませんでしたね。
しかしここからが地味に長い。時計は見ていないので第二パートが何分くらいだったのかよくわかりませんが、体感的にはちょっとダルかった。
前フリが終わって答え合わせが始まるのかなと思ったら、答え合わせをするための準備が始まっている感じ。「ONE CUT OF THE DEAD」の各キャストやスタッフたちの人物紹介的なやり取りや人間模様が繰り広げられます。
自分では解けない問題をどんどん出題されて、ようやく待ちに待った解説の時間が始まると思ったら、解説するために必要な資料を出題者が長時間用意しているような感覚?なんか変な例えだけど。
もちろん答え合わせをするために必要なピースを揃えているのはわかっているのですが、どうもここでもあまりストーリーに没入できず。
しかも配役が違ったりとか新キャラ(主人公の娘)が登場したりとかで、「このピースどこにハマるんだ?」的な疑問もまた生まれていくので、頭の中は情報がごちゃまぜ状態。
結果的には第二パートが一番記憶が薄い気がします。(みんなそうかもだけど)
ONE CUT OF THE DEADの撮影裏側部分
ここまで待たされただけあってこのパートはおもしろかった(´∇`)
特に「ONE CUT OF THE DEAD」の冒頭部分、監督が女優と彼氏ゾンビに対してキレる演技がガチッとハマったのは最高でしたね。
あとはトラブルがあった場面での裏方の人たちのやり取りも結構好き。趣味を聞いて護身術の話をしている時の「なんだこの会話」とか、「お互いにケガがないか聞きあって繋いでます」「もう限界です!」とか。ツッコミがあると笑いやすいですよね。
そんな感じでそれなりには楽しめたのですが、前フリの長さや感じたストレスを発散するほどの笑いには至らず。
「なるほどねー、そういう事情だったんだねー」くらいの種明かしも多くあり、答え合わせへの高まった期待感を超えてくることはありませんでした。
でもこれは私が観に行った映画館では結構感じている人が多かったかもしれないと思っていまして・・・。
というのも、この第三パートに入っても周りから聞こえてくる笑い声は「クスクス」くらいのもので、声を出して笑っている人など一人もいなかったからです。
まあもちろん笑いは波及するので一人でもゲラゲラ笑っていれば、全体が笑って良いという空気になり、もっと盛り上がったのかもしれませんけどね。
「この映画は笑える部分も多いけど感動する部分もある」といった意見がありましたが、私はまったく感動できませんでした。
多分感動する部分と言ったらラストの組体操(人間ピラミッド)で、スタッフみんなが協力するところだと思います。
それまで非協力的だったり、性格が相容れなかったりしていた人たち同士が「ONE CUT OF THE DEAD」のラストを飾るために必死になっている姿が感動を呼んだのでしょう。ただ私は第二パートでストーリーに没入できていなかったことが原因だと思いますが、あの必死な姿を見ても何の感慨も湧きませんでした。
「ゾンビの目玉のコンタクトは目を大きく開いてる方が見た目おもしれーな」くらいの感想。
エンディングで映画「カメラを止めるな!」の舞台裏を映していたのはとても良かったと思います。「何重構造なんだよ、この映画は!」ってツッコみたくなりましたねσ(*・∀・)
さて、そんなこんなで映画も終わり、抱いた感想が「前評判が高すぎる。期待しすぎたせいであんまり楽しめなかったな」というものでした。
ちなみに私はこの映画がおもしろいという人はセンスが良いと思いますし、まったく否定するつもりはありません。一緒に観に行った友達も「さすが話題になるだけのことはある、おもしろかった!」って言ってましたし、その感覚のほうが普通(大多数)なんだと思います。
映画「カメラを止めるな!」を私が楽しめなかった原因はコイツ
映画「カメラを止めるな!」を私が楽しめなかったのはワイドナショーに出演していた西川貴教さんのせいです。これは確信を持っていえます。
彼は「カメラを止めるな!」の感想を求められた時、「ネタバレにならないように言わないといけませんね」などと前置きした後にこう言いました。
「観始めたら全然おもしろくないところで笑ってる観客が何人かいるんですよ、笑いのレベル低いな、まさかこの映画この程度の感じで人気があるのかと思ってちょっとがっかりしてたんです。そうしたらそこからどんどんおもしろくなっていって、後から知ったんですけど、最初に笑ってた人たちはリピーターだったんですね」
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この映画は「ゾンビ映画を撮っているスタッフたちが実際にゾンビに襲われるが、監督は撮影を止めない」という内容だというのは様々なところで紹介されています。ワイドナショーでも確かそんな感じの紹介があったと思います。
その内容を知った上でこんな感想を聞いてしまったら・・・そりゃ色々想像しちゃうでしょ。
私は「不自然に趣味の話を振って護身術のお手本が始まる」という割と早い時点で、この作品が三重の入れ子構造になっていると予想することができてしまっていました。
間違いなくそれは西川貴教さんの感想を聞いてしまっていたせいです。
そのせいで第一パートが前フリだと早い段階から思い始めてしまい、冗長で退屈に感じてしまいました。
そして第一パートが退屈だったから第二パートのストーリーに没入できず、第三パートで本来の笑いや感動が生まれなかったと考えています。
以上の理由により、この記事に文句がある人はすべて西川貴教さんに言うようにして下さい。
よろしくでーす。
※本ページの情報は2019年4月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。
コメント
わかります。
私も期待をしすぎて鑑賞し始めたため、はじめから展開が予想でき、さらにそこを上回ることなくエンディングを迎え物足りなさを感じました。
観た人に感想を聞くと皆口を揃えて、観ればおもしろさわかるから!というあらすじに言及しない感じも要因にあると思いましが。。
どんでん返しというか、そういった展開があるとわかっていながらも一杯食わされるような映画はたくさんありますしね。
評価があまりにと高すぎてこんな感想になってしまった人が自分以外にもいらっしゃると知り、メディアの過剰反応がもたらしたがっかり感だと思います。
面白いが、世に出回っている評価程ではない。
すごく共感しました。
コメントありがとうございます。
共感してくださった方がいてよかったです♪
この記事を書いた頃は他のブログでも辛口に批判しているところが見当たらないくらいだったので・・・
良い作品だと思いますが、期待値を上げすぎてはいけませんでしたね(*^^*)
私も絶賛されすぎて、騙されたつもりで見てみようかとおもい、無料で見る機会があったので見たのですが、見事に騙されました。
ゾンビ映画が特に好きというわけではないのですが、非日常的な作品が好きなので、ある程度の期待を持って見たら、これはダメでした(個人的好みは勿論あります)。
もともと私は舞台劇(特に中小劇団の)が好きで、舞台劇だったらこの手法はありだったと思います(元ネタパクリ騒動がありましたね)し、実際にあります。
世間の評価とは逆に、むしろ冒頭の37分を「出来の悪いゾンビ映画」として本編よりはマシだと思いました。できたら、その後の話を10分くらいでオチに持ってくるぐらいで良かったのではないかと。
「イニシエーション・ラブ」が正にその手法で、壮大なフリからどんでん返しをスパッと短時間でやったので、気持ちよく騙されたのですが、これは気持ち悪かったですね。
昔、「ホーリー・マウンテン」という映画がありましたが、これも壮大な物語のラストでどんでん返しのオチという結末でした。
カメ止めの場合は後半のストーリーこそがメインで、それを描くための枕としてゾンビがあったのかもしれません。
舞台劇として見たら結構面白かっただろうと思わせてくれたことは評価できます。元ネタ?舞台が見たくなりました。
余談ですが、かつて「パコと魔法の絵本」という映画がありましたが、原作である舞台「ガマ王子とザリガニ魔人」のほうが何倍も面白いです。
期待を裏切って面白い作品もありますが、この作品のベクトルが見てみたい作品と結果的に真逆だったので私個人には面白くなかった作品でした(舞台版は見たいですが)。
ごめんなさい。シーンを100%覚えてないのにコメントさせてもらいますが、『こんなところに斧が、ついてるわ』の件は、『こんなところに斧が。(運が良いって意味合いで)ツイてるわ』だと思ってます。
なるほど、リピーターが絶賛していたということですかね……?(違ってたらごめんなさい
この作品はどんでん返しではなく、細かい違和感の細かい伏線回収が面白さのポイントなんだと感じました。実は自分も大どんでん返し系を予想していたので、前評判の異常な高さも相まって期待以上の面白さは無かったですが、細かい答え合わせの連続は十分に楽しめました。
そしてご指摘のカルト映画の金字塔「ホーリーマウンテン」。まさにラストのクレーンカメラのシーンはそのオマージュと思いました。
(ネタバレ)
ホーリーマウンテンがあれで劇中内現実を劇中内でも虚構にしたのとは逆に、カメ止めはあれで劇中内虚構を劇中での現実(=作品)として完成させたのだと思います。
ついでにイニシエーションラブが出てたので言及すると、(映像作品見てないので原作での話ですが)あのトリックはミステリーとしては非常にポピュラーなため、この作品の眼目でなかったりします。イニシエーションラブのポイントはそのトリックに付随して生じる時間軸上の設定への偏執的なまでのこだわりにあります。
興味があれば、文庫本のあとがき解説のご一読がオススメ。